(英エコノミスト誌 2019年11月2日号)

有権者の投票動向は予測不能で、ブレグジットのほかにも争点がある。
クリスマスの2週間前に予定されている英国内での冬のお祭りやチャリティバザー、学校で子供たちが演じるキリスト降誕の劇などは延期されることになるだろう。
村の集会所が再び投票所に変身するからだ。
ここ4年あまりで3度目となる総選挙が実施されるのは、現在の下院議員が欧州連合(EU)の離脱の仕方――さらに言うなら、離脱するか否か――について合意できずにいるためだ。
保守党のボリス・ジョンソン首相は、来る選挙で過半数を獲得して「ブレグジット(英国のEU離脱)を成し遂げる」と公約している。
片や首相のライバルになるジェレミー・コービン労働党党首は、ブレグジットそのものを止めることも選択肢に加えて国民投票を再度行うことを提案している。
これだけでも極めて重要な選択になる。しかし、ブレグジット選挙と呼ばれるこの総選挙で決まるのは英国と欧州との関係だけではない。
極左のコービン氏が国家を経済の中心に据えると公約する一方で、ジョンソン氏の保守党はさらに規制の少ない形態の資本主義に向かっているように見える。
それと同時に、この2人の首相候補はいずれも、連合王国を構成する4カ国の結び目を緩めることになるだろう。