台風21号から変わった低気圧による大雨で千葉県では広い地域が洪水に見舞われた(写真は10月25日、冠水した成田市内。写真:AP/アフロ)

 前稿「佐倉冠水の構造的背景」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58072)に多くの御反響をいただきました。ありがとうございます。

 ところが、この原稿の公開と前後して驚嘆すべき事実が報じられ、言葉を失いました。

 佐倉駅側から西印旛沼に注ぐ「鹿島川」に県が設置した水位計が、8月末から落雷のため故障したままになっていたというのです。

 県は修理が間に合わないまま、地元には連絡することなく放置。このような水位計が今回、千葉県内で7河川8か所確認され、ずさんな管理に批判が集中しています。

 住民の安全確保は正確な情報から。当たり前のことです。

 しかし、大雨に備えて警戒していた佐倉市側で、水位計のデータをチェックしていたところ、おかしな値が出ていることが判明。

 県に連絡して、初めて故障の事実を把握しましたが、その頃には佐倉駅近くの「鹿島橋」付近で川は決壊、洪水が発生していました。

 国土地理院のデジタル地図データ(https://maps.gsi.go.jp/)で確認してみると、馬渡付近の田んぼの標高は約6メートル、周囲の道路は7メートル強ほどと分かります。

 これに対して、決壊した「鹿島橋」付近の道路の標高は5メートル、周囲の田んぼは2メートルほど、そして印旛沼の平時の水面も2メートル程度。

 故障によって馬渡での水位がどのように誤って表示されていたのかは分かりません。