(英エコノミスト誌 2019年10月26日号)

ドナルド・トランプ大統領は米国で弾劾された初の大統領になるか(写真は首都ワシントンにある米国議事堂)

上院議員は党派を脇に置いてアレクサンダー・ハミルトンの期待に応えるか。

 米国建国の父の1人であるアレクサンダー・ハミルトンは1788年、大統領の弾劾には「共同体全体の感情を刺激し」、「既存の派閥」を「憎悪、えこひいき、不当干渉、私利追求」に駆り立てたりする恐れがあると警鐘を鳴らした。

 そして、このプロセスは露骨な政治的思惑にさらされると「無罪か有罪かの真の証明」が矮小化される「最大の危険」をはらんでいると指摘した。

 ただその一方で、大混乱を回避する道を憲法が用意しているとも論じた。

 上院は合衆国憲法により、下院から送られてくる「すべての弾劾訴追を裁く独占的権限」を手にする。

 上院議員はその時々の感情に「動じたり影響されたりせず」、弾劾訴追された官吏の解任の可否を検討するのに「十分な品位」を有している、というのだ。

 米国のウィリアム・テイラー駐ウクライナ大使は10月22日、弾劾調査を行っている下院の委員会で証言し、トランプ大統領がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に脅しをかけたと語った。

 来年の大統領選挙でトランプ氏のライバルになり得る民主党のジョー・バイデン前副大統領の息子について、ウクライナが捜査を始めなければ、同国への軍事援助3億9100万ドルを差し控えるとの内容だったという。

 この証言は、トランプ氏が自分の再選に役立てるために外国の指導者に圧力をかけたことを示す――それも外交官として50年のキャリアを誇り、9つの政権に仕えてきた公務員による――今までで最も明快かつ詳細な説明だった。