(英エコノミスト誌 2019年10月26日号)

英国はますます欧州大陸的になると同時に、米国的にもなりつつある。
英国では2016年の国民投票まで、欧州連合(EU)の旗はイヌワシと同じくらいまれにしか目にしないものだった。
今では、スズメと同じくらいよく見かける。ロンドンの議会議事堂前にある広場「パーラメント・スクエア」には、この旗が常に何本もはためいている。
EU残留派の活動家たちは、EU旗をかたどったベレー帽やTシャツを身につけて歩いている。
10月19日には国民投票の再実施を求める「ピープルズ・ボート」の支持者およそ100万人がウェストミンスターに集まり、青地に金色の星を配した旗を掲げて行進した。
この状況は、英国政治が経験しているこの奇妙な時期において最も奇妙な逆説の一つを浮き彫りにしている。
国民投票でEU離脱(ブレグジット)の意思が示されたことで数百万の英国人がショックを受け、自分たちがEUをどれほど好んでいたかをやっと理解したという逆説だ。
英国はそれまで、EUは便利な貿易協定とほとんど変わらないものであるべきだと考えており、ほかの加盟国と一線を画していた。