(英エコノミスト誌 2019年10月22日号)

9月30日、トランプ大統領の所有するホテルでコーヒーを飲みながら打ち合わせするルディ・ジュリアーニ氏。打ち合わせの相手はウクライナ系米国人の実業家(右、)写真:ロイター/アフロ

ドナルド・トランプ大統領のお仲間のうち、「米国の市長」ほど落ちぶれた人はいない。

 当コラムの筆者がもし2007年に、次に共和党から大統領になる人物はゲイに理解があり、人工妊娠中絶にも賛成で、結婚歴が3回あるニューヨーカーだと教えられたとしても、この高貴な男爵の脳裏にドナルド・トランプ氏の名前が浮かぶことはなかっただろう。

 この年の共和党の大統領予備選挙は、ルディ・ジュリアーニ氏が2位以下に大差をつけて終始リードしていた。

 確かに、元ニューヨーク市長の同氏はソーシャル・リベラリズム(社会自由主義)色が強く、小さな町の保守層から支持されないのではないかとの疑念もあった。

 かつて何人かのゲイやシーズー犬1匹とシェアハウスに住んでいたことがあったし、困ったことには、うさんくさい大都会的な性格の象徴であるトランプ氏とコントを演じたこともあった。

 おまけに、当コラムはあの年、米国は「無神経な」ニューヨーカーを選ぶような国ではないと警告を発していた。

 だが、当時のジュリアーニ氏は2001年9月11日の同時多発テロの後で冷静にリーダーシップを発揮したことや、犯罪対策の成果で幅広い支持と勢いを得ていたことから、そうしたハンディキャップをカバーできるかもしれないと当コラムは思っていたし、多くの人が同じことを考えていた。

 しかし、ジュリアーニ氏のその後はまさに坂道を転げ落ちるような展開で、ここへ来て、ますますスキャンダルまみれになってきたその経歴においても最悪だと思われる危機に直面している。