(英エコノミスト誌 2019年10月19日号)

米国と停戦合意した後も軍事作戦を続けるトルコ軍(10月18日、写真:AP/アフロ)

米国の信用を修復するには何年もの歳月がかかるだろう。

 ドナルド・トランプ大統領の外交政策の最も簡潔な要約は、ほかならぬ本人の手によって示されている。

 トランプ氏は、自身の判断を機に始まったシリアでの大混乱に触れ、「みんなの健闘を願っている、我々は7000マイルも離れている!」とツイートした。

 トランプ氏は、危険な地域で友軍を見捨てても米国が深刻な結果を招くことはないと考えている。それは間違っている。

 クルド人に対する裏切りを受けて、今後は友好国も敵国もトランプ氏の率いる米国を疑うようになるだろう。これは米国人にとっても世界全体にとっても、嘆き悲しむべきことだ。

 米軍兵士1000人を引き揚げる大統領の決断により、シリア北部における脆弱な休戦はすぐに破られた。

 米軍撤収でトルコがクルド人を攻撃する余地が生まれた。トルコ軍の攻撃でこれまでに数千人もの犠牲者を出しており、少なくとも16万人が家を捨てて逃げ出した。

 かつてクルド人が監視していた強制収容所からは、過激派組織「イスラム国(IS)」の支援者たちが大挙して脱走している。

 行き場を失ったクルド人勢力は、シリアの血まみれの独裁者で米国と敵対するバシャル・アサド大統領に助けを求めた。