「北朝鮮の選手はかなり激しくプレーした。ひどい罵りもあった」。10月17日、北朝鮮から仁川空港に当直し、記者の質問に答えるサッカー韓国代表・孫興民(ソン・フンミン)選手(写真:AP/アフロ)

 曺国問題で守勢に立たされた文在寅(ムン・ジェイン)大統領を襲う次の危機は、北朝鮮発になる可能性が濃厚となった。

 10月15日、平壌(ピョンヤン)で行われたサッカーの2022年ワールドカップ(W杯)のアジア2次予選「韓国vs.北朝鮮」の試合で見せてくれた北朝鮮の異常な態度が、米朝会談がうまくいかないことに対する苛立ちと、韓国の文政権に対する怒りを物語っているからだ。

スポーツを政治利用する卓抜した才能

「記憶したくない」

「無事に帰っただけでもありがたい」

 韓国が誇るストライカー・孫興民(ソン・フンミン。27歳、トッテナム・ホットスパー所属)選手が17日、平壌でのアウェー戦を終えて仁川(インチョン)空港で記者団に打ち明けた感想だ。韓国代表チームを率いた団長の口からは、「もはや戦争だった」という嘆きが漏れたほどだった。

 今年7月、2022W杯カタール大会のアジア2次予選の組抽選によって、韓国は、レバノン、北朝鮮、トルクメニスタン、スリランカとともにH組に入った。以降、8月3日、北朝鮮側が10月15日の韓国と北朝鮮とのホーム戦を平壌で開催するという意思をアジアサッカー連盟(AFC)に伝えると、韓国では1990年の親善試合以降、29年ぶりの南北サッカーAマッチが平壌で行われることに対する期待が高まっていった。そして、これはスポーツを政治利用することに卓越した才能を持っている文在寅政府を大きく鼓舞させることにもなった。