10月12日(土)、台風19号による豪雨で増水した多摩川(写真:新海良夫/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 8月24日に、「世界的猛暑で懸念される巨額経済損失と食糧不足」という論考をJBpressに寄稿したが、そこで警鐘を鳴らしたことが、その後立て続けに日本で現実のものとなり、悲しいかぎりである。

(参考記事)世界的猛暑で懸念される巨額経済損失と食糧不足
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57412

 9月には台風15号が日本を襲い、千葉県では停電の長期化という想定しない事態に、住民もたいへんな苦痛を強いられた。

 そして、今回の台風19号である。その被害の大きさが分かってくるにつれて、過去に例のない超大型台風であったことが改めて認識させられている。64もの河川が氾濫し、2万3000ヘクタールもが浸水し、4000人を超える人々が避難生活を余儀なくされている。その被害は、昨年の西日本豪雨を超えている。泥水に浸かった家屋の片付け、再建への道は遠い。

ライフラインに大打撃を与える河川の氾濫

 二つの台風による損失は計り知れないが、このような大型台風が発生する原因は地球温暖化にある。8月24日の論文では、地球温暖化がもたらす猛暑について特に取り上げ、猛暑による労働時間の減少で、2030年までに約250兆円の経済的損失が生じるというILOの試算を引用しておいた。