(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年10月11日付)

トルコ軍の空爆によって黒煙が上がるシリアのトルコ国境の町ラス・アルアイン(10月16日、写真:ロイター/アフロ)

 共産党支配の70周年を記念する式典での中国の軍事力の披露は、はっとさせられる瞬間だった。

 新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む高度な兵器のラインアップは、強国を目指す中国の野望について多くを物語っていた。

 だが、戦車が大きな音を立てて天安門広場を進むなか、欧州はよそを向いていた。目下、ドナルド・トランプ米大統領の命運を推測することが唯一の関心事なのだ。

 トランプ氏は歴史のリズムを壊した。

 我々は、確立された秩序に対する脅威は台頭する新興国からやって来ると考える。その点では、非常に素早く、非常に大きくなったとはいえ、中国も変わらない。

 しかし、戦後の「パックス・アメリカーナ」に対する攻撃を率いたのは、そう、当の米国だった。

 欧州の人々が新たな戦争の勃発について心配する時、彼らは通常、トランプ氏のツイッター・アカウントを見ている。

 シリア北部から米軍を撤収し、同盟相手のクルド人勢力を侵攻してくるトルコ軍と対峙させることにしたホワイトハウスの決断は、目的にかなっている。

 クルド人は欧米諸国にとって、「イスラム国(IS)」などのジハード主義組織との戦いで最も頼りになる同盟相手だった。