(英エコノミスト誌 2019年10月12日号)

10月14日の香港。この日も大々的な抗議デモが行われていた(写真:ロイター/アフロ)

天安門の経験者は歴史が作られた瞬間を見た。そこには多大な犠牲を伴った。

 中国共産党は、自らの意志を通すためには人を傷つけることも厭わない――。

 韓東方(ハン・ドンファン)氏はこれを苦い経験を通して学んだ。1989年の民主化運動で活動していた韓氏はその年の6月初め、噂が飛び交う天安門広場にやって来た。

 そして鉄道電気技師に転じた元兵士として、人民解放軍は同胞を決して撃たないと語り、怖がる仲間たちを安心させた。

 その過ちにいまだに苦しんでいる韓氏は2014年9月、中国を追われて以来住んでいる香港で、中心部を占拠する運動「中環占拠(オキュパイ・セントラル)」の民主活動家が道路を封鎖するのを見て、いても立ってもいられなくなった。

 慌てて抗議行動の現場に赴き、若者たちの隣に座り、道理をわきまえるよう促した。

 道路を封鎖することで君たちは警察、ひどい場合には香港の兵舎でひっそり待機している中国の兵士たちに攻撃の口実を与えている、と助言したのだ。

 時は下って2019年。今度は新世代の急進的な活動家たちが、中国の支配層をほとんど挑発するに至っている。

 香港市街に部隊を送ってみろ、人を傷つけて中国の本性を見せてみろ、といった具合だ。