2019年4月30日、サムスン電子の華城事業所を訪問した文在寅大統領が李在鎔副会長と握手(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 2019年10月15日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)大統領が京幾道華城(ファソン)にある現代自動車の研究所を訪問し、自動運転や水素、電気自動車など未来型自動車研究施設などを視察した。

 10月10日には、サムスン電子のディスプレー工場を視察したばかりだ。経済民主化を掲げ、財閥と一定の距離を置いていた大統領だが、経済活性化のために財閥との関係が変化しつつある。

サムスン副会長とは9回目の面談

 10月10日、文在寅大統領が忠清南道牙山(アサン)にあるサムスン電子のディスプレー工場を視察した。李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)副会長が出迎えて大型投資計画を発表した。

 この日、サムスン電子は、大型テレビなどに搭載する独自開発の「QD(量子ドット)有機EL」パネルを量産するために13兆1000億ウォン(1円=11ウォン)を投資することを発表した。

 文在寅大統領は「ディスプレー産業は韓国の製造業の根幹だ。サムスンが世界1位の座を守ることは重要だ。サムスンは家電製品に続いて半導体、携帯電話機さらにディスプレー分野でも詰めに世界の先頭を行き、韓国経済を主導していることに感謝したい」とサムスンを持ち上げて見せた。

 文在寅大統領とサムスンとの関係は、2017年5月の就任以降急変している。

 就任直前に李在鎔副会長が朴槿恵(パク・クネ=1952年生)前大統領と長年の知人である崔順実(チェ・スンシル=1956年生)氏にからんだ一連のスキャンダルで実刑判決を受けて拘置所に入った。

 朴槿恵時代の政経癒着を「積弊」として批判、財閥改革を含む経済民主化政策を掲げてきた文在寅大統領もサムスンとは距離を置いてきた。