(英エコノミスト誌 2019年10月12日号)

ドルやユーロ、ポンドの各紙幣

豊かな国々の経済の動き方が根本的に変化した。経済政策も同様に変わらねばならない。

 高所得国の経済は10億の消費者と数百万の企業から成っており、それぞれが独自に決断を下している。

 だが、これ以外にも強い力を持つ公的機関が存在し、経済の舵取りを試みている。例えば中央銀行は金融政策を定め、政府は支出や借り入れの金額を決めている。

 ここ30年あまりは、こうした公的機関は確立されたルールの下で運営されてきた。

 政府は、選挙で与党に票をもたらす労働市場の活況を望むが、景気が過熱すればインフレが発生する。

 このため、かつて米連邦準備理事会(FRB)を率いたウィリアム・マチェスニー・マーチン氏による、あのお馴染の警句を拝借するなら、パーティーが盛り上がっている最中に酒の入ったパンチボウルを引っ込める独立した中央銀行が必要になる。

 これは一種の分業だと思えばいい。政治家は国家の長期的な大きさと、無数にあるほかの優先事項に着目し、テクノクラート(官僚)は景気循環をならすという複雑な仕事を担当するわけだ。

 この整然とした分担が今、崩れつつある。

 本誌エコノミスト今週号の特集記事で論じている通り、失業率低下と物価上昇との関係が消えてしまった。