(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年9月30日付)

ドル紙幣

 世界の貯蓄者、特に老後に備える米国の貯蓄者は、もう何十年も前から、お金の大半をS&P連動ファンド――最大級の米国企業の動きを追跡する指数連動ファンド――に預け、定年が近づいてくるまで忘れておくべきだと教えられてきた。

 1980年代半ば以降、これはおおむね良い助言だった。

 何しろ、米国の多国籍企業への投資はグローバル化を買う一番の方法であり、グローバル化は多くの大企業の株価にとって非常に良いことだった。

 しかし最近、筆者は考え始めた。もし長期投資のパラダイム全体が変わるのだとしたら、それは何を意味するのだろうか――。

 我々の知るグローバル化は保留されている。それだけは分かっている。

 だが、非常に長い「金融抑圧」の期間、つまり金利の低下がもう一つの根本的な真実を覆い隠した時代の終わりも近づいてきているのだとしたら、どうか。

 世界における米国の地位は変わり、米国企業の潜在的な成長力も変わった。もしこれが事実だとすれば、我々は米国の多国籍企業の株価だけでなく、ドル自体の調整も迎えようとしているのかもしれない。

 であれば、米国の個人貯蓄者から欧州とアジアの巨大年金基金まで、世界中の投資家に甚大な影響を及ぼす。