北朝鮮の首都平壌にある金日成広場

 北朝鮮による大口径多連装ロケットの発射は、恫喝のために見せつけている、あるいはその延長線上のものでしかないと考えていては大間違いだ。

 この兵器の怖さを認識し、確実に対応できるようにしなければ、韓国の政府や軍の機能は一瞬にして停止させられてしまう。超大型ロケットの能力と運用目的から、当然予想されることだ。

とてつもない脅威を韓国に

 北朝鮮は5月以降、短距離弾道ミサイルのほかに、超大型ロケットおよび大口径多連装ロケットの発射実験を行った。

 超大型ロケットも多連装ロケットの種類に区分してよい。多連装ロケットのこれまでの概念は、命中精度が悪いために、施設の破壊を狙うものではなかった。

 たったの数分間に多数弾を発射して、広域に展開する敵の陣地や市街地を狙って撃ち込み、多数の兵士や市民を殺傷するものであった。

 旧ソ連軍、中国軍および北朝鮮軍は大量の多連装ロケットを保有していて、連続して発射する映像を映して、我々西側諸国を威嚇してきた。

 例えば、北朝鮮が保有する240ミリ多連装ロケットは、1台に22発の砲が取り付けられていて、全弾が約3~5分で撃ち終わる。

 1個砲兵旅団が保有すると見られる約72台が同時にソウルを狙って発射すれば、3~5分の間に約1600発が落下してきて爆発するのだ。

 多くの人々が建物の外にいれば、この数分の間に数万人の死傷者が出る可能性がある。

240ミリ多連装ロケットの発射状況

出典:2019年5月5日朝鮮中央通信