ストラスブールの市場。フランスとドイツの文化が混ざり合う当地は、食文化も独特となっている。(筆者撮影。以降、シュークルートの写真を除いて同様)

 フランス北東部に位置するアルザス地方。ライン川をはさんで向かいはドイツだ。過去、フランスとドイツが領有権を奪い合った土地であり、ドイツ領になったり、フランス領になったりと複雑な歴史を持つ。

 今回、アルザス地方を訪れる機会を得た。フランスとドイツが混ざり合ったアルザスの食とはどういうものか紹介したい。

ここはフランスなのか? ドイツなのか?

 筆者が主に滞在したのは、アルザス地方の中心都市ストラスブールだ。パリから高速鉄道TGVに乗って2時間ほどの場所で、古くから交通の要所として栄えてきた。ドイツの国境に近く、中心部からトラムに乗れば、すぐにライン川を渡りドイツに着く。

 街の中心には、ゴシック建築の傑作といわれるノートルダム・ド・ストラスブール大聖堂がそびえたつ。世界遺産にもなった旧市街には伝統的な、またどことなくドイツ風な建築物が並び、まるで中世の街にタイムスリップしたようだ。あちこちに残る古い木組みの家は、典型的なドイツ式ではなく、アルザス地方独特のものだそう。一方で、EUの重要機関が置かれ、EUの中核を担う街でもある。

ストラスブールの街並み。プレッツェルを売るベーカリーや、菓子店もある。右下は、ノートルダム・ド・ストラスブール大聖堂。

「ストラスブール」という地名はフランス語の呼び方だが、付近の地名は「キルステット」とか「フェンデンハイム」とかドイツ語のものが多い。だんだんフランスにいるのだか、ドイツにいるのだか分からなくなってくる。