(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年9月27日付)

9月24日、国連総会に合わせてニューヨークで行われた米英首脳会談(写真:ロイター/アフロ)

 闇の中に一筋の光がようやく差し込んできた。英国が政治的に不安定な「バナナ共和国」の状態に向かってずるずる転落していくのを、最高裁判所が食い止めた。

 英国の欧州連合(EU)離脱についての議会審議をやめさせようとするボリス・ジョンソン首相の試みが権力の濫用であることが暴かれた。

 審理に当たった11人の裁判官が発した爽快なメッセージはシンプルだった。

 法の支配は民主主義に欠かせない柱の一つとして投票箱の隣に存在している、ということだ。首相はその法の支配の上に自らを位置づけようとした。

 たとえわずかでも誠実さを持ち合わせた政治家であれば、この批判的な判決には辞職で応えていただろう。

 発足からほんの数カ月で、ジョンソン政権はカオスの集合体と化した。そして今度は、首相が議会を閉会するために女王と国家にウソをついたことが明らかになった。

 それでも栄誉ある辞任を拒んだことに、特に意外感はない。ジョンソン氏はナルシシストで、謙虚さは「一般庶民」のものだと考えているからだ。

 そんな同氏には仲間がいる。ちょうど最高裁の判決が下された頃、ニューヨークを訪問中のジョンソン氏がドナルド・トランプ大統領と励まし合っている様子がテレビに流れた。