(英エコノミスト誌 2019年9月21日号)

2019年8月7日、ソフトバンクグループの決算発表をする孫正義氏(写真:森田直樹/アフロ)

ハイテク・ユニコーン企業のバリュエーションは、公開市場の意欲とずれてしまったのかもしれない。

 東京・渋谷にあるウィーワークのビルは、氷山とシュレッダーにかけられているプラスチックボトルを足して2で割ったような建物だ。

 だから、9月17日に棚上げされたこのオフィスレンタル企業の上場計画が大立者である孫正義氏の財務をシュレッダーにかける恐れがあること、そして上場頓挫の大失態が1000億ドル規模の「ビジョン・ファンド(VF)」にとって氷山の一角かもしれないことは、まさにお似合いだ。

 孫氏は2017年に30分間会っただけで、ウィーワークのカリスマ的な共同創業者、アダム・ニューマン氏に賭けた。

 孫氏が支配するソフトバンクとVFは、ハイテク企業を謳う主張が薄っぺらであるにもかかわらず、ウィーワークに44億ドル出資した。

 報道によれば、VFの最大の出資者であるサウジアラビアの政府系ファンドが反対していなければ、孫氏は今年さらに160億ドル出資していた。

 だが、ソフトバンクはそれでもウィーワークに20億ドル出資した。すべてを合計すると、VFとソフトバンクは106億5000万ドルを投資したか投資を確約しており、ウィーワークの株式の29%を保有している。

 ウィーワークが200億ドルのバリュエーション(価値評価)で上場していたとすれば(直近の調達ラウンドで付いた470億ドルのバリュエーションの半分以下)、VFとソフトバンクはあるシナリオでは最大75億ドルの含み損を抱えたことになると、投資銀行ジェフリーズのアチュル・ゴヤル氏は試算している。