(英エコノミスト誌 2019年9月14日号)

愛知県田原市のキャベツ農家(2019年3月撮影、写真:Ben Weller/アフロ)

欧米の社債市場で日本のインパクトが痛烈に感じられている。

 日本の農林中央金庫(農林中金)ほど表面上退屈な企業はなかなか思い浮かばないだろう。何しろ、国内の農家から預金を受け入れたり資金を貸し出したりするために1世紀近く前に設立された協同組合だ。

 ところが、その農林中金が今年、いきなりスポットライトを浴びた。

 ローン担保証券(CLO)を大量購入していたことが明らかになった時のことだ。

 CLOはプライベート・エクイティ(PE)会社が企業買収の資金をまかなうために利用している、高リスクな融資の債権を束ねて作られた金融商品だ。今年6月時点で、農林中金のCLO保有残高は750億ドルに上っていた。

 農林中金の無鉄砲な冒険は、訓話を与えてくれる。

 その教訓の一つは、近年の日本のように金利が0%に近い水準に長期間張り付いてしまうと、銀行の通常の収益源が圧迫されるというもの。

 もう一つは、銀行がこうした利益をテコ入れするためにはかなり手を広げなければならない(今回の場合は、変わり種だが利回りが魅力的な外国証券の購入)というものだ。

 農林中金だけではない。日本の銀行や保険会社は、ほかの種類の投資適格社債とともにCLOのトリプルA格のトランシェ(部分)を大量購入している。