『肌競花の勝婦湯』(豊原国周・画)

(柳原 三佳・ノンフィクション作家)

 記録的な暴風で首都圏に猛威を振るった台風15号。千葉県内では送電線をつなぐ鉄塔が倒れ、62万軒で停電、断水が続いています。

 実は、私も電気と水を止められてしまった被災者の一人です。

 最初は数時間の辛抱だと思って頑張っていたのですが、24時間たっても復旧の目途がまったく立たないとのこと。さすがに35度に迫る暑さには耐えられず、千葉県内でありながらぎりぎり停電を免れた娘の家(浦安市)に避難してこの原稿を仕上げています。

 猛暑の中、クーラーも効かず、水も出ない・・・、そんな中、今さらながら、「お風呂に入れること」のありがたさをひしひしと感じています。

 さて、日本人というのは、その昔から大のお風呂好きでした。

 江戸時代の浮世絵には、「湯屋(ゆや)」と呼ばれる銭湯での入浴シーンがよく描かれているのですが、当時は混浴の銭湯が多かったようです。