(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年9月6日付)

米コロラド大学に新設された航空宇宙工学の新施設(撮影:2019年8月26日、写真:UPI/アフロ)

 数百万人の米国人学生が現代の通過儀礼――大学入学――に臨む季節になった。

 しかし、彼らが授業を受け始める今、我々全員が学ぶべき背筋の寒くなるような統計がある。

 米国では学費ローンの残高が2006年以降に3倍に膨張し、総額1兆6000億ドルに達しているのだ。借り手の学生1人当たりでは3万5000ドル近い水準となる。

 この残高は、住宅ローンを除けば消費者向けの貸し付けとしては最も多く、米国の国内総生産(GDP)の約7%に相当する。

 また、人類学者のケイトリン・ザルーム氏が説得力のある新刊『Indebted(借金漬け)』で指摘しているように、学費ローンのほとんどは連邦政府から助成されているため、米国政府は「米国最大の消費者向け貸金業者」になっている。

 これは驚くべきことであると同時に、恐ろしいことでもある。

 また二重にショッキングなことに、貸付残高がここまで膨らんでいるにもかかわらず、これといった政策論争や政策対応はまだほとんど始まっていない。

 民主党の大統領選挙候補指名争いで有力視されているエリザベス・ウォーレン上院議員は先日、所得に応じて学費ローン債務を減免する仕組みを提案し、波紋を投じた。

 ライバルのバーニー・サンダース上院議員は、もっと急進的な全額免除を求めている。