尖閣沖を航行する中国公船(2016年8月6日撮影、提供:第11管区海上保安本部/AP/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 中国の武装艦艇による尖閣諸島周辺の日本の領海や接続水域への侵入が一段と頻繁になってきた。

 この状況に対して、米国の首都ワシントンの大手研究機関からこのままだと日本は尖閣諸島の施政権を失うことになる、という警告が発せられた。米国側では、中国が尖閣奪取を計画し、さらに東シナ海全体の覇権を制しようとするとみて、警戒を強めているという。

武装した艦艇が恒常的に侵入

 中国艦艇による尖閣諸島の日本領海への侵入はあまりに頻繁すぎるためか、日本側の警戒が減ってきた。主要新聞の報道も、外国の武装艦艇による重大な領海侵犯なのに雑報扱いとなっている状況である。

 日本の領海のすぐ外にあって日本の法律がその域内で適用される接続水域への中国艦艇の侵入はさらに増えている。日本のマスコミは侵入してくる船を中国公船と呼び、とくに危険性がないかのようなイメージで伝えている。だが現実には、最も頻繁に侵入してくる船は 中国人民解放軍の直接の指揮下にある人民武装警察に所属する中国海警の艦艇である。それらの船はみな武装している。なかには中国海軍の正式な武装艦がそのまま海警に所属変えとなった艦艇もある。

 こうした尖閣の現状に対して米国の大手研究機関から警告が発せられた。このままだと中国は尖閣の施政権を日本と共有した形となり、尖閣の奪取から東シナ海全体の覇権確保へと進むことになる、というのだ。