(英エコノミスト誌 2019年9月7日号)

9月4日、英国の下院で動議された解散決議を拒否したボリス・ジョンソン首相(提供:Jessica Taylor/UK Parliament/新華社/アフロ)

 英国政治では今、異例な出来事があまりに多すぎて正常なことと異常なことを区別するのが不可能になっている。

 この状況は国民を混乱させるだけではない(「クーデター」とか「裏切り者」と言った言葉が飛び交うと、最も冷静で思慮深い人々でも心を乱しかねない)。危険でもある。

 歴史を少し振り返れば分かるように、異常なことが常態化する時にはひどいことが起こりうる。

 ジェイコブ・リースモグ下院院内総務は、英国の憲法は「嵐が来ても、しなってやり過ごすことができる」と主張する。だが、その嵐が何年間も荒れ狂うハリケーンだったら、さしもの憲法も壊れかねない。

 先の保守党党首選挙では、ボリス・ジョンソン氏が比較的穏健なジェレミー・ハント氏を破った。

 わずか15万人の投票者(最盛期の保守党には300万人を超える党員がいた)から9万3000票を集めての勝利だった。

 この15万人の投票者の半分以上は55歳を超えており、70%が男性で、97%が白人だ。また、総じて言えば英国民全体よりもはるかに権威主義的で、欧州連合(EU)に懐疑的なものの見方をする。

 しかし、この党首選が茶番であっても、ジョンソン氏が恐ろしく極端な政策を追求することを食い止められなかった。

 同氏は保守党内では少数派の、合意なきブレグジット(EU離脱)を支持するメンバーで組閣を行った。