2018年4月20日、米国防省で会談したジム・マティス米国防大臣と日本の小野寺五典防衛大臣(肩書きはいずれも当時、写真:AP/アフロ)

裏切られた「暴露本」への期待

 内憂外患が続くドナルド・トランプ米大統領の最大の政治課題は2020年大統領選で再選すること。

 世論調査の支持率は40%に低迷、一対一の支持率競争では主要な民主党大統領候補4人にことごとくリードされている。

 再選される唯一の手段は中西部、南部のトランプ支持の白人層を堅持し、たとえ一般投票では負けてもこれらの州に分配されている選挙人数で民主党候補を上回ることしかない。

 そこで内政にしても外交にしてももすべてこれら支持層の「利益」になることしか念頭にない。

「米国第一主義」ならぬ「白人支持層第一主義」にならざるを得ない。

 こう見てくると、なぜ米中貿易戦争を激化させるのも対難民・不法移民政策や反地球温化政策も頷けるというものだ。

 そうした最中、国防長官として2年間支えたジェームズ・マティス退役海兵隊大将が新著を出した。

 タイトルは『Call Sign Chaos:Learning to Lead』*1、(コールサイン・カオス:指導者術を学ぶ)。ビング・ウエスト氏との共著となっている。

*1=「Chaos」はマティス氏が海兵隊に所属していた時のコールサインの一つ。

 34年間の海兵隊生活を振り返りながら参戦し、指揮した数々の戦場での出来事を取り上げ、軍人とは何かを書き記している。