(英エコノミスト誌 2019年8月31日号)

英国議会を5週間閉会にすると発表したボリス・ジョンソン首相に抗議する人たち(写真:AP/アフロ)

首相は議会を蚊帳の外に置き、合意なき離脱に進路を取った。議員たちは今こそ立ち上がり、首相を止めなければならない。

 ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)の是非を問う国民投票に向けて離脱派が掲げた信念の空虚さが、一つずつ明らかにされている。

 国民投票が行われる前、投票に勝てばEUと素晴らしい取引を交渉できるようになると離脱派は主張していた。それが今では合意なき離脱を支持している。

 投票の前にはブレグジットによって自由貿易協定(FTA)をもっとたくさん結べるようになると論じていた。今では世界貿易機関(WTO)による最小限度の取り決めでの貿易で十分だと述べている。

 離脱派が最も声高に訴えていたのは、ブレグジットによって主導権を取り戻すとか議会の主権を回復するといった主張だった。

 ところが8月28日、離脱派のリーダーの一人だったボリス・ジョンソン首相が、離脱期限の直前にあたるこの時期に議会を閉会すると発表した。

 傍若無人なこの策略の狙いは、合意があってもなくても10月31日にEUを離脱するという首相の無謀な方針に、議員が待ったをかけられないようにすることにある。

 合法ではあるが、憲法の慣習を限界まで拡大解釈した行為だ。採決で議会の賛同を得るには立場が弱すぎるから、いっそ黙らせてしまえ、ということだ。

 英国の代表民主主義にとって、これは危険な前例となる。