「逃亡犯条例」改正を巡り混乱が続く香港(写真:ロイター/アフロ)

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 香港の「反送中デモ」(逃亡犯条例改正に反対するデモ)を支持して「自由と民主」を掲げる香港人学生。それに対して中国人留学生たちが「愛国」で牽制――。

 香港のデモが生んだ香港人と中国人の対立が世界各地に広がっている。

「異様な集会」を批判する中国人も

 8月23日夜、大阪の髙島屋難波店の前で、中国人の若者による数十人規模の集会が行われた。この集会を撮影した動画には、中国国歌を声高に歌う中国人の姿や巨大な五星紅旗が映し出されている。香港のデモに反対しているのだろう。「民主とは、秩序を破壊することではない」と書かれたプラカードも見える(YouTubeで「大阪 中国人デモ」などのキーワードで検索してご覧いただきたい)。

 中国人旅行者や子どもも加わっており、集会そのものは決して過激なものではなかった。だが、大阪の繁華街で中国の国旗を掲げて国歌を歌う中国人の集団の姿は、はっきり言って異様である。

 この異様な集会に戸惑い、批判する中国人も少なくない。

「まさか日本の大阪でこんな政治活動を行うとは・・・」

 こう語るのは、大阪に根を下ろして30年になる中国出身の実業家だ。「デモに端を発する香港人と中国人の対立は、日本とは関係がない。やるなら香港か中国でやるべきです。大阪の集会は、日本に住む中国人による自発的な集会とは明らかに異なる“官製デモ”でしょう」と語る。

 SNSで拡散した動画を見た上海出身の女性も、集会への強い違和感を訴える。「よその国で、集団で国歌を歌うなんてどうかしている。動画からは、政治色を帯びた威圧的な雰囲気が伝わってきます。“愛国”は結構だけど、表現する方法と場所が間違っています」。