G20大阪サミットで握手する安倍晋三首相と中国の習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ)

 安倍晋三首相が通算在職日数を更新し戦後最長となり、11月には戦前も含めて歴代最長政権となると見られている。

 混乱の度を増す国際社会にあって存在感を示し、多くの国民が信頼し得る政治を行っているからに違いない。

 しかし、ここに賛同できない一件がある。中国の独裁者となりつつある習近平国家主席を「国賓」として来年迎えるという計画である。

 日中間の諸問題に対する習政権の姿勢は納得できないし、中国国内や国際問題に関しても人権や法の無視が目立ち、国際社会の大きな波乱要因になっているからである。

 7月発表の中国国防白書でも「自国の軍事力は防衛と平和のため」だと主張し、「アジア太平洋諸国は運命共同体」で、「南シナ海は安定している」と述べる。

 世界一の軍事強国を目指し覇権国家を確立すると言いながら、自国は平和勢力で運命共同体だと言い募る欺瞞を真に受けられるだろうか。

 こうした虚言で言いくるめた中国の真意を見逃して、日本が習政権を歓迎するようなことがあっては、国際社会の指弾を受けること必定であろう。

体制変換を求めてやまない中国

 昨年10月の安倍首相訪中前に筆者は「透ける本音:なぜ中国は安倍首相訪中を促したか 中露の焦りは日本の主張を通すチャンス、明確に言うことが大切」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54423)を公開した。

 さらに、首脳会談後には「歴史の証言:中韓と距離を置くとき日本は繁栄する 安倍首相の訪中は米国の属国から脱し自立するための第一歩」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54586)を上掲した。

 前者は中国が首相の訪中を促した真意を探り、後者は首相訪中の成果を総括したものである。約めていえば、中国は困ったときに日本利用を平然とする国であるから油断してはならないというものであった。

 今日の状況は心配した通りになっている感じである。