私たちは体の不調を感じると、つい「足し算」したくなる。

「ダイエットには、どんな食べ物がいいんですか?」「短い睡眠時間でも元気なれるサプリメントは、ありませんか?」「肝臓に負担がかからないお酒は、どれですか?」

 筆者も効き目がありそうなサプリメントは、ちょっと高額でも欲しくなるし、お金をかけずに自分で体調を改善できる方法はないかとついつい調べてしまう。慢性的に腰がつらいので、「先週テレビでやっていたストレッチをやってみよう、予防には筋トレがいいと電車の中吊り広告に書いてあったな、よしスクワットをやるか」なんて思うこともあるが、一念発起しては猛烈な筋肉痛に遭って挫折、なんてことを繰り返す日々だ。

 その一方で、ずっと座りっぱなしでパソコン作業をしたかと思えば、必ず足が痛くなる靴で歩きまわり、スマホを持っていない方の肩に重い荷物をかけて混雑する電車に乗り、クタクタになって帰宅したらソファでぐったり。それでもテレビが見たいから、ひじ掛けに頭をもたせかけて、そのままウトウト・・・。実はこんないつもの動作の中に、様々な痛みの原因がある。

「体調を改善するためには、まずそうした悪い習慣を止めましょう」と言うのは吉井カイロプラクティック研究所(東京・北区)の吉井孝之さんだ。「体にいいこと」を増やすより、「悪いこと」を減らす。「足し算」でなく「引き算」で改善できる腰痛対策を吉井さんに教えてもらった。

やってはいけない座り方

 まずは座り方だ。気が付くと、こんな座り方をしていないだろうか?

お尻がずるずると前に来て、背中の上部や首を背もたれに預けている悪い座り方(撮影:本橋丈、モデル:東 志野香)

「この座り方を長時間続けていたら、ただの腰痛だけでなく、椎間板ヘルニアやぎっくり腰になる可能性がぐっと高くなります」(吉井さん)

「悪い座り方」になっていると気づいたら、座り直すよりも、まず立ち上がろう。用はなくてもトイレに行ったり、背伸びをして「座りっぱなし」から離れる。そして、以下の「なぜこの姿勢が悪いのか」を思い出してみてほしい。