(英エコノミスト誌 2018年8月24日号)

ミニブログで表明される怒りに匹敵する、中国人の西側ブランド傾倒への落胆がある。
中国のファッションブロガーの「スタイリスト・ゾイ」は8月10日、750万人を数えるフォロワーにオンライン世論調査への協力を呼びかけた。
茹でたばかりのエビをイヤリングとして身につけてみようと思うか、という設問で、回答を寄せたのはわずか1300人だった。
ところが、その2日後の呼びかけは大ヒットとなった。
中国最大のミニブログ「ウェイボー(微博)」に投稿し、「中国を侮辱」している外国ブランドについてどう思うかと問いかけたところ、100万人を超えるネチズンが反応したのだ。
まさに非の打ち所のないタイミングだった。ゾイによる調査は、国営メディアの激しい怒りの宣伝にも助けられ、中国のインターネットに襲いかかる愛国的な義憤の波に乗った。
今回の騒動には、大国の覇権争いの歴史にはこれまで登場しなかった批判の文句が飛び交った。西側諸国のブランドが高価なTシャツを武器に中国の主権を侵害している、というのだ。
どういうことか。ヴェルサーチ、コーチ、ジバンシィの3社は香港、マカオ、台湾といった地名をプリントしたTシャツを販売していた。
これに対し、最初の2都市が主権国家ではなく中華人民共和国の特別行政区であることをはっきり書いた文言がないとか、民主的な自治が行われている台湾が――少なくとも共産党支配の本土から見る限り――中国の省の一つであることを明記していない、といった批判が飛び出したのだ。