8月11日に行われた大統領選の予備選でアルベルト・フェルナンデス候補に大きく差をつけられたマウリシオ・マクリ大統領(写真:Agencia EFE/アフロ)

(英エコノミスト誌 2019年8月17日号)

 2015年の大統領選挙でマウリシオ・マクリ氏が当選したことは、おいしいステーキと高率のインフレ、そして国債のデフォルト(債務不履行)で知られるアルゼンチンに新時代の到来を告げるはずだった。

 マクリ氏は金融引き締め策で物価高騰を抑制すると約束した。

 これは、前任のクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル氏が、怪しいマクロ経済指標を公表したり為替管理を導入したりしてごまかそうとした問題だ。

 マクリ氏は前任者の政策をお払い箱にして通貨ペソを変動相場制に移行させ、輸出枠と関税を撤廃した。投資家はこの動きに拍手を送った。

 債券投資家との長きにわたる紛争を解決した後、アルゼンチンは再び債券を発行できるようになった。

 2017年6月には、満期100年の国債27億米ドルを8%の利回りで発行してみせた。投資家の購入希望額の合計は、発行額のほぼ4倍に達した。

 幸運は長続きしなかった。

 2017年になると、予想外のインフレ目標変更や債券発行の急増に投資家が警戒感を抱くようになった。2018年にはそうした懸念が深まって通貨危機に発展した。

 通貨ペソが急落すると、中央銀行は政策金利を40%に引き上げた。マクリ氏は国際通貨基金(IMF)に570億ドルの融資を求めざるを得なくなった。