(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年8月15日付)

ジンバブエのエマーソン・ムナンガグワ大統領(2019年5月26日南アフリカ共和国で撮影、写真:AP/アフロ)

 ロバート・ムガベ大統領時代への郷愁をジンバブエ人が口にしたら、国の状況がひどいに違いないことが分かる。

 しかし今では、2017年のクーデター後に大統領がエマーソン・ムナンガグワ氏になってから状況がさらに悪化し、あのムガベ氏の暗黒時代よりもひどくなった、との話を耳にするのが普通だ。

 ジンバブエは人道的メルトダウン状態にある。

 食糧不足は深刻で、エイズウイルス(HIV)治療薬を飲むのをやめる人も出ている。服用時に一緒に取らねばならない食事の値段が高すぎて手が出ないというのがその理由だ。

 かつてアフリカ南部の穀倉地帯だったこの地では今日、多くの人々が1日1食、あるいはそれ以下の暮らしを送っている。国連世界食糧計画(WFP)によれば、1400万人いる国民の3分の1が「飢餓に向かっている」という。

 ジンバブエは過去40年間で最悪の干ばつに見舞われている。ダム湖の水位が下がったために電力供給も滞っており、人々は空腹だけでなく暗闇にも悩まされている。

 だが、早合点してはいけない。国民が苦しんでいる最大の原因は、経済運営の失敗にある。

 ムナンガグワ政権は疲弊した経済を安定させるべく、国際通貨基金(IMF)の支援を得ながら緊縮政策を取った。これが事態を悪化させる羽目になった。

 巨額の財政赤字を何年も続けてきた政府は現在、歳出を歳入以下に抑えている。財政を建て直しに取り組んでおり、最終的には、つまはじきにされてしまった国際社会への復帰を目指している。