(英エコノミスト誌 2019年8月17日号)

米中貿易戦争の激化で株価が乱高下するニューヨーク証券取引所。(写真:ロイター/アフロ)

 金融市場の変動に意味を見い出そうとすることは、荒れ狂う海の動きに一定のパターンを見い出そうとするようなものだ。

 市場から流れ出てくる情報は人々が売り買いをした結果にすぎず、あらゆる矛盾を包含している。価格は人々の感情、バイアス、冷静な計算が入り交じったものの反映だ。

 しかし、それらをかき集めてやれば、市場は投資家のムードと時代の気分の両方について何かを表現するようになる。

 最も普通に見受けられるシグナルは、慢心だ。

 危険は往々にして、手遅れになるまで無視される。だが、今日の市場を覆い尽くしているムードはここ十年間の大半と同じく、慢心ではなく不安だ。そしてその不安は日に日に強まりつつある。

 その傾向が最もはっきり分かるのは、最も安全性の高い資産――国債――の需要が驚くほど強いことだ。

 先日発表された経済指標でマイナス成長に陥ったことが示されたドイツでは、金利が翌日物から30年債利回りまですべてマイナスになっている。

 債券を購入して満期まで持ち続ける投資家は間違いなく損をするという状況だ。

 スイスでは、50年債までずっと利回りがマイナスになっている。債務残高が多くて危機に陥りやすいイタリアでさえ、10年債利回りは1.5%しかない。