東南アジアでは、デング熱の「大流行宣言」を発令したフィリピンだけでなく、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイなどで例年になくデング熱が大流行している(フィリピン・マニラ、筆者撮影)

 夏休みの海外旅行シーズンたけなわ。厚労省などでは、感染症についての注意喚起を行っている。

 そして東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年7月まで、あと1年足らず。テロ対策の一方、蚊が発生するピークの季節とあってデング熱などの感染症リスクも拡大している。

 2016年のリオオリンピックでは、ジカ熱感染で開催が危ぶまれたことは記憶に新しい。

 2014年には、日本で69年ぶりに国内でデング熱の感染例が見つかっている。海外からウイルスが日本に持ち込まれたと見られているが、万が一に備え対策に万全を期す必要がある。

 ちなみに昨年の日本人の年間出国者数は1895万人、外国人入国者数は初めて3000万人を突破し、いずれも増加の一途を辿っている。

 厚労省指定の特定感染症医療機関である国立国際医療研究センターの国際感染症センター長、大曲貴夫氏は「日本で5年前大流行したデング熱は、(海外からの輸入ケースだが) 現在でも年間平均200から300ぐらいの感染が国内で確認されている。外国人患者も増加傾向で、東京五輪の最重要課題の一つ」と警鐘を鳴らす。

 米国疫病予防管理センター(CDC)や世界保健機関(WHO)によると、デング熱の感染は、現在120カ国以上、年間約4憶人の感染者を数え、約50万人は重篤化したデング出血熱を発症するといわれている。

(参照ビデオ:https://www.youtube.com/watch?v=V5hpXm1UY_Q

「デング熱は、蚊を媒介とした世界で最も発生する感染症の一つ。将来的には世界人口の約40%、25億人以上が感染するリスクを抱えている」という。

 これまでの熱帯や亜熱帯地域だけでなく、2010年にはクロアチアとフランスで、また2012年にもポルトガルのマデイラ島で感染が確認されている。

 さらに、ヨーロッパの20カ国以上で、デングウイルスを媒介するネッタイシマカも発見されている。