製造業におけるデジタルトランスフォーメーションの推進役としてIT企業から転身した、ヤマハ発動機フェローの平野浩介氏。どのような思いで転職し、どのような未来を描いているのか、デジタル分野における経営陣コミュニティ「CDO Club Japan」の加茂純代表理事が聞いた。(JBpress)

――長年勤められたインテルからヤマハ発動機に転職された思いと経緯をお聞かせください。

 30年以上ITを売る側にいたのですが、それを使ってビジネスにどれだけ貢献できるか、ということにチャレンジしたい、と考えて転職を決意しました。

 インテルでは、技術、マーケティング、エバンジェリスト、ソフトウェアチームなどさまざまな職種を経験しました。2000年以降インテルは、チップをメーカーに販売するだけではなく、ユーザー企業が新しいコンピュータ環境を使って、新しいビジネスを展開していくところまでを支援することにかなり力を入れるようになりました。最後の方はそのようなビジネス開発の仕事をメインにやっていました。なので、さまざまな業界の企業さんとおつきあいがありましたし、業務内容も知ることができました。

 転職にあたって、IT企業や外資系企業よりも日本企業、それも製造業は新しいチャレンジになるだろうし、自分としても勉強になると思って決めました。若いときからずっとバイクが好きだったことも、ヤマハ発動機に決めた理由の一つと言えるかもしれません。

――入社されてからはどのようなことに取り組まれましたか。

 入社したのは2年ちょっと前の2017年の4月です。デジタルトランスフォーメーションを推進するために、コーポレートフェローという形で入社しました。直接何かの事業を持つのではなくアドバイザー的立場で、幅広くデジタルやITが必要なところでの推進役をしています。

 デジタルトランスフォーメーションやそれに関連する技術の社内への啓蒙というのはもちろんですが、当初はコネクテッドビークル、顧客IDの導入、スマートファクトリーなどの推進も手掛けました。