2018年の自民党総裁選の投票流量後、記者の取材に応じる小泉進次郎議員(写真:アフロ)


 小泉進次郎衆議院議員が、滝川クリステルさんとの結婚を発表した。
兄の小泉孝太郎氏も報告を受けた際には驚いたようだが、われわれ国民も予想していなかった組合せに大いに驚かされた。それでも、考えてみればこれほど見事な組み合わせもない。そこで国民が知りたがっているのは、なぜこのような令和のビッグカップルが誕生したのか、という一点だろう。『小泉進次郎 日本の未来をつくる言葉』(扶桑社新書)の著者であり、ニューヨークで大学院生だった頃から進次郎氏を知るフジテレビ解説委員の鈴木款氏がJBpressに寄稿した。(JBpress編集部)

「未来のファーストレディーは現れないかも」

「最後の独身大物俳優」ならぬ「最後の独身大物政治家が結婚へ」の一報を聞いた時の、私の言葉もまさに「この手があったのか」だった。

 一年前に上梓した拙著『小泉進次郎 日本の未来をつくる言葉』の中で私は、進次郎氏の結婚について「未来のファーストレディーは果たしてどんな人物なのか? 国民の関心はますます高くなりそう」と高らかに書いた。国民的人気がずば抜けて高い進次郎氏は、若手の中で最も将来の首相ポストに近い人物と言える。だからこそ、独身である進次郎氏の結婚相手には、世の中が非常に高い関心を持って見ている。

 しかしこのとき私は、本音では「“未来のファーストレディー”はひょっとして現れないかも・・・」と一抹の不安も抱いていた。

 なぜなら、進次郎氏は去年の春ごろ、周辺に「自分はもう結婚できないかもしれない」と漏らしていたことを耳にしたからだ。

 それを聞いたその周辺は驚き、「小泉家のDNAを残さないとだめですよ」と励ましたのだが、進次郎氏は「それはお兄に任すよ」と笑いながら語ったという。

 この話を聞いた時、私は「なんとも痛ましい『政界のプリンス』だな」と同情を覚えた。小泉家は四代続く政治家の家系だ。互いに好き合っているだけでは結婚には至らないかもしれないし、仮にそういう相手が出来たとしても、「小泉進次郎の恋人」としてマスコミにマークされ続ければ、そのうち嫌気が差してしまうかもしれない。だから私は同情と同時に、進次郎氏は果たして「未来のファーストレディー」に出会えるのだろうかと本気で心配したものだった。

 ところが急転直下、知名度抜群のキャスターでもある滝川クリステルさんという聡明な女性を射止め、さらさらにそのお腹には二人の赤ちゃんまでいるのだという。女性キャスターやアナウンサーはスポーツ選手や実業家、あるいは同業者と結婚する人が少なくない。あるいはその知名度を生かして自ら政治家になる人もいる。だが、政治家の妻になったという人は、ゼロではないが、決して多くない。

 また政治家の妻になるのは、企業のオーナー一族や高級官僚の家の娘さん、あるいは地元の実力者の娘さんなど、何らかの形で政治や選挙にメリットのある家の子女であることが少なくない。

 そうした中で、「未来の総理大臣」の呼び声高い小泉進次郎氏が生涯の伴侶に選んだお相手が、滝川クリステルさんだった。詳しく知っているわけではないが、彼女は莫大な資産家の娘でもなく、中央政界や地元政界の実力者の娘でもないはずだ。そして現在は、自ら立ち上げた動物愛護団体の代表理事としても精力的に活動している。もちろんこうしたキャリアと抜群の知名度を持つ滝川さんとの結婚は、新しい政治家像を提示することにもなるし、進次郎氏の今後の政治家人生にとって大きな武器にもなる可能性もあるのだが、組合せとしては少々意外だった。だから反射的に「この手があったか」と感嘆したのだ。