アスクルの株主総会こそ、今年最も注目された株主総会かもしれない(筆者撮影)

 社長が大株主のヤフーと対立しているアスクルの株主総会が8月2日午前、都内のホテルで開かれた。

 議長を務める岩田彰一郎社長は、アスクル株の60%近くを保有するヤフーとPLUS(プラス)の反対により、取締役を事実上「解任」されることが決まっているという、異例の展開だ。

個人株主は「われわれが何を言ってもしょうがない」

「支配株主が少数株主の権利を蹂躙する行為」というコーポレートガバナンス専門家の批判もある中、当の少数株主は、この展開をどう考えているのか。まずは総会の会場に集まった個人株主に聞いてみた。

——社長の取締役選任を含め支配株主であるヤフーとプラスが全てを思い通りに進め、アスクル少数株主の権利が無視されているという指摘もあります。

「まあ、(ヤフー、プラスを合わせて過半数の)株を持たれてんだから、しょうがねえよなあ。岩田さんの言い分もわかるけど、そもそも自分が蒔いた種でしょう(業務資本提携の時にヤフーに40%を超える株式を与えたことを指す)。何を言っても悪あがきだよねえ。辞めるしかないんじゃないの。今日は高みの見物だね」(70代男性)

——ヤフーという支配株主がいることを知った上でアスクルの株主になったのですか。

「どうだったかなあ。そこまでは考えていなかったかもしれない。とにかく、アマゾン(・ドット・コム)がすごい勢いでのして来ていて、『ヤフーとアスクルでアマゾンへの対抗勢力を作る』というから、これは日本勢を応援しなくちゃと思って買ったんだよね。岩田さんのことは応援してますよ。ただ、ロハコはやっぱり(アマゾンや楽天に比べて)サービスで劣るところがあるからね。もっとドンと積極的に投資して頑張って欲しかった、というのはありますね」(50代男性)

報道陣も注目するアスクルの株主総会(筆者撮影)

——大株主であるヤフーの意向で、岩田社長が取締役に選任されず、事実上「解任」されます。少数株主としての意見は。

「時代の流れだねえ。(埼玉県にあるアスクルの物流センター)火事からいろんなことが起きて、こんな流れになっちゃったんだろうね。まあ岩田さんも長いからなあ。我々は少数株主だから、こうなったら何を言ってもしょうがない。株価が上がってくれれば、それでいいです」(60代男性)