日本が韓国向け半導体材料の輸出規制を強化したことに抗議して韓国・ソウルで行われたデモ(2019年7月25日、写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

「文在寅(ムン・ジェイン)政権下の今の韓国は事実上の内戦状態にあり、民主主義も三権分立も存在しない。だから日本は正常な国を相手にしているつもりになってはならない」――こうした辛辣な文政権批判が、韓国の保守派知識人から表明された。

 韓国内の反文在寅勢力からの手厳しい政権糾弾である。だが、こうした意見が述べられるほど、現在の韓国内部の分裂や混乱は深刻だと言えそうである。

話し合いでの合意は望めないと覚悟せよ

 7月29日、民間安全保障・外交研究機関「日本戦略研究フォーラム」(屋山太郎会長)主催による討論会が東京都内で開かれた。この討論会で、かつて韓国政府の外交官として在日韓国大使館の公使や参事官を務め現在は学者や評論家として活動する洪熒(ホン・ヒョン)氏が講演し、質疑応答に応じた。

 洪氏は韓国陸軍士官学校を卒業して軍務に就き、ベトナム戦争にも韓国軍将校として参加した。日本在住も長く、早稲田大学客員研究員を経て、現在は桜美林大学客員教授、在日韓国人向けの新聞「統一日報」主幹も務める。政治的には韓国の保守派として、文在寅政権の政策に激しい批判をぶつけている。