英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年7月23日付)

AI司令員「アイちゃん」、国営電力会社に入社 江蘇・揚州

AI司令員「アイちゃん」、国営電力会社に入社 江蘇・揚州。写真は「アイちゃん」による業務フロー提示(2019年7月15日撮影)。(c)CNS/湯德宏〔AFPBB News

 これからの世の中は、人間の価値観をコード化して埋め込んだコンピューター・アルゴリズムが、人の就職先から交際相手、銀行借り入れの可否、さらには軍事用ドローンでの殺害や自動運転車での事故などで誰の命を奪うのかということまで決める場面がますます増えていくだろう。

 こうした人間の価値観をいかにして埋め込むかは、21世紀を形づくる最も重要な要素の一つになる。しかし、どのような価値観を組み込むべきかについてはまだ合意ができていない。

 それどころか、この議論が米国と中国の地政学・技術的な対立に巻き込まれる恐れすら生じている。

 西側世界は過去2世紀にわたって、価値観を世界各地に広める仕事をほぼ独占的に担ってきた。国際的な条約や制度・機関に西側の規範を埋め込んできた。

 しかしデジタルの領域においては、中国という手ごわいライバルに直面している。人工知能(AI)超大国として急激に台頭してきているこの国は、独自のルールを制定する決意でいる。

 そして7月、その中国の価値観が西側世界の価値観とはかなり異なることが浮き彫りにされた。ロンドンのナフィールド財団で開かれたAI倫理に関するセミナーでのことだ。

 世界各地の企業、政府、民間研究機関などの手による「AI原則」は、これまでに50セット前後公表されている。

 ここには騰訊控股(テンセント)や百度(バイドゥ)といった中国最大級のハイテク企業も名乗りを上げている。今年5月には、中国政府の支援する学術研究機関が「北京AI原則」なるものを発表した。

 西側世界で書かれるこの種の原則は、公正さ、透明性、個人の権利、プライバシー、および説明責任に焦点を当てていることが多い。