サウジアラビア、空港狙ったイエメン武装組織の無人機を迎撃

サウジアラビア南部アブハの空港で、イエメンの反政府武装組織フーシ派の攻撃による被害を調べる作業員(2019年6月13日撮影)。(c)Fayez Nureldine / AFP〔AFPBB News

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(藤 和彦:経済産業研究所 上席研究員)

 米WTI原油先物価格は再び下落し始めている(1バレル=50ドル台後半)。需給面の懸念を地政学リスクが打ち消すという構図が徐々に崩れつつあるからだ。

米国の原油生産拡大で世界の原油在庫が増加

 まず供給サイドを見てみよう。

 7月11日に公表された月報によれば、OPECの6月の原油生産量は前月比7万バレル減の日量2983万バレルと5年ぶりの低水準となった。イランが14万バレル減の日量223万バレル(2018年の生産量の平均は同355万バレル)、ベネズエラが2万バレル減に同73万バレルとなった一方で、サウジアラビアは13万バレル増の同981万バレルとなった(減産合意は同1031万バレル)。

 非OPEC産油国の雄であるロシアの7月1日から8日までの原油生産量も前月比44万バレル減の日量1079万バレルと3年ぶりの低水準だった(減産合意は同1119万バレル)。4月下旬に発生した欧州向け原油パイプラインの汚染問題の影響が尾を引いているが、生産は徐々に回復に向かっている(7月10日付OILPRICE)。

 前述のOPEC月報では2020年のOPEC産原油の需要量が示されたが、6月の原油生産量を56万バレル下回る日量2927万バレルと3年連続の減少である。インドや中国など新興国の需要は拡大するものの、米シェールなど非加盟国の原油生産が拡大し、OPEC産原油を駆逐してしまうと予想しているからである。

 国際エネルギー機関(IEA)も7月12日に公表した月報で「世界の原油需要が低迷する中、米国の原油生産が拡大し、今後9カ月、世界の原油在庫は増加する」との見通しを示した。世界の原油生産の鍵を握るようになった米国の直近の原油生産量は日量1230万バレルである。日量1240万バレルの過去最高を記録した後、熱帯性暴風雨の襲来で同1200万バレルに下落した。そのうちの約7割はシェールオイルだ。米エネルギー省によれば、8月のシェールオイルの生産量は日量855万バレルになる見込みだ。

 一方、将来の生産量の指標となる石油掘削装置(リグ)稼働数は過去7カ月にわたり減少している。シェールオイルの生産を牽引している南部のパーミアン地区での活動がスローダウンしており(7月13日付ブルームバーグ)、投資家の間で「今後数カ月以内にシェール企業の倒産のペースが加速する」と警戒感が高まっている(7月7日付OILPRICE)。