(英エコノミスト誌 2019年7月12日号)

トランプ氏の怒り買った駐米英大使、辞任を表明

米首都ワシントンの英国大使館でスピーチをするキム・ダロック氏(2017年1月18日撮影、資料写真)。(c)Paul Morigi / GETTY IMAGES NORTH AMERICA / AFP〔AFPBB News

EU離脱派が掲げた「グローバル・ブリテン」の約束は空虚に見える。

「この状況では、自分が望む方法で職責を果たすことができない」

 キム・ダロック氏は7月10日、そう言い残して英国外交官の最高位に当たる駐米大使の職を辞した。

 ドナルド・トランプ大統領について記した非常に批判的な内容の機密公電の一部が、英国の大衆紙メール・オン・サンデーで暴露された数日後のことだ。

 ダロック氏は結局、西側世界の2人の大物ポピュリスト、すなわちトランプ氏本人と英国の次期首相になりそうなボリス・ジョンソン氏によるワンツー・パンチでノックアウトされた。

 トランプ氏が、ダロック氏を相手にしないよう政府の部下に命じた後、ジョンソン氏がダロック氏の支持を拒んだのだ。

 この騒動は、西側世界の防衛体制の土台である米英の「特別な関係」を、ここ数十年なかったような形で試すことになる。

 米国の大統領が、関係の深い同盟国の大使にあれほど激しい屈辱を与えた場面を思い出せる人はほとんどいない。

 おかげで英国の国内政治も揺れている。

 欧州連合(EU)離脱後の「グローバル・ブリテン」に備えなければならないまさにその時に、英外務省は本国と、友情を育む必要性が最も高い国々の両方で火消しに回ることになってしまった。