2019年7月5日に韓国・ソウルで行われた、日本の韓国向け半導体材料の輸出規制強化に抗議するデモ(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 7月に2冊の本の出版にこぎつけた。1冊は『日本共産党の最新レトリック』(産経新聞出版)、もう1冊は『大手メディアがなぜか触れない 日本共産党と野党の大問題』(清談社)である。後者は多くの著作を発表し、メディアでも大活躍中の経済評論家、上念司氏との共著である。

韓国の行為を正そうとしない日本の政治家

 自分ではタイムリーな出版だったと思っている。いま日韓関係が悪化している。昨年(2018年)12月には、能登半島沖の日本海において韓国海軍の駆逐艦が、海上自衛隊のP-1哨戒機に対して火器管制レーダー(射撃管制用レーダー)を照射するという事件が発生し、日本側が厳しく抗議をした。だが、韓国側の言い分は二転三転し、説得力ある反論はできなかった。火器管制レーダーの照射は、通常、火器の使用に先立って実施する極めて危険な行為である。

 日本企業への賠償を命じたいわゆる徴用工判決。これも日韓請求権協定(1965年)を蔑ろにするものである。さらには慰安婦問題での日韓合意を踏みにじった「和解・癒やし財団」の解散等々、文在寅政権誕生後の韓国に日本への行いは度し難いものであった。

 真に日韓友好と考えるのであれば、日本の政治家はこれら一連の韓国の行為について、その間違いを率直に指摘することを避けてはならない。

 だが、日本共産党や野党は、なぜかほとんどの場合、文在寅政権の対応に賛成してきた。2冊の著書でも述べたことだが、日本共産党は慰安婦問題でも徴用工判決でも“安倍政権の対応では駄目”と言い続けて、文在寅政権と同様に日韓関係を壊しているだけなのである。2冊の本では、こうした問題にも詳しく言及しているので大いに参考にしてもらいたい。