ロシア正教会が総主教庁との関係断絶 ウクライナ正教会独立めぐり

ベラルーシの首都ミンスクの教会で式典を執り行うロシア正教会のキリル総主教(中央、2018年10月14日撮影)。(c)AFP PHOTO / MOSCOW PATRIARCHATE / SERGEY VLASOV〔AFPBB News

「大量破壊兵器は祝福しない」

 今年6月、ロシア正教会モスクワ総主教庁のトゥトゥノフ主教が、核兵器などの「大量破壊兵器には祝福を与えてはならない」と述べたことが大きな注目を集めた。

 ロシア正教会の協議機関である教会合同評議会の諮問により、過去2年間にわたって行われてきた「ロシア正教会による兵器への祝福」問題についての検討の結果であるという。

 国営通信社『RIAノーヴォスチ』に掲載されたトゥトゥノフ主教の声明によると、

●教会が祝福を与えることができるのは軍事勤務の遂行と祖国防衛に対してである

●具体的にいうと、その対象となるのは軍事勤務と祖国防衛を遂行する個々の軍人たちであり、彼らの携行する武器もまた祝福を受けることができる

●この観点からして、個人携行武器ではない大量破壊兵器は祝福の対象にならない

 という理屈であるようだ。特に宗教的自覚のない一日本人としては「そんなものかな」と思わないでもないが、大量破壊兵器(なかんずく核兵器)とロシア正教会の関係を紐解くと、この発言はなかなかに意味深である。

 ロシア正教会は、これまで、核兵器産業やロシア軍の核運用部隊と深い関係を築いてきたためだ。