(英エコノミスト誌 2019年7月6日号)

トランプ氏、独立記念日に異例の演説 「米国に不可能はない」

米首都ワシントンのリンカーン記念堂前で行われた独立記念日のイベントで、展示飛行を見るドナルド・トランプ大統領(中央、2019年7月4日撮影)。(c)MANDEL NGAN / AFP〔AFPBB News

ヒステリックで安定性に欠ける政権は、政策の行き詰まりと政治の膠着を生み出した。

 ドナルド・トランプ氏にとって今年の7月4日は待ち切れない日となった。

 筆者がこの原稿を書き始めた段階で、大統領は「アメリカに敬礼を」と銘打った祝賀行事の最終準備に余念がなかった。

 2年前にフランスで、エマニュエル・マクロン大統領が装甲車や体つきのがっしりした外人部隊らを引き連れて行進したのを見て以来、トランプ氏はこの行事をずっと夢見ていた。

 戦車や戦闘機などの登場を約束し、ツイッターでは「諸君の大好きな大統領、私の演説もある!」と予告した。献金をした人やその他の支援者には、首都ワシントンのナショナル・モールの一画に特別席が設けられた。さぞかし楽しんだに違いない。

 大統領にとって同じくらい喜ばしいのは、自分に批判的な人々が憤慨したことだ。

 報道によれば、この行事には国立公園の収入から250万ドルが流用された。戦車を走らせればリンカーン記念堂の地下室にダメージが及ぶ恐れもあるという。独立記念日がここまで政治に利用されるのは、悲しいことだ。

「Owning the libs(リベラル派をコケにする)」をツイッター上のミームから統治戦略に格上げした大統領にとって、今回の行事は計画の一部であると同時に、もっと重大で責任逃れのできない出来事から世間の目をタイミングよくそらす仕かけでもあった。

 トランプ大統領は1期目の公約として大胆な外交政策をいくつも打ち出した。

 中国との貿易の状況を改善する、北朝鮮とイラクの核の脅威に対処する、アフガニスタンでの戦闘を段階的に縮小する、中東和平を実現する、米国の南の国境での秩序を回復する、といった具合だ。