6月11日、シャープの事業方針説明会に登場した会長兼社長の戴正呉氏(右)。左は石田佳久副社長(写真:つのだよしお/アフロ)

 2019年6月25日、シャープの株主総会と経営説明会が開催された。

 この日の早朝、筆者がJBpressに寄稿した「支援者連合崩壊、JDIに迫る正真正銘の崖っぷち」と題する記事が公開されていた。経営危機にあるジャンディスプレイ(JDI)の再建を巡る混乱ぶりと、今後に対する提言をまとめたものだ。

 記事の結びにはこう書いた。

「シャープとINCJの関係者には、過去の怨念を乗り越えて提携してもらいたい。ディスプレイ産業を研究する者として、日本のディスプレイ産業の競争力を強化するために、私は提言したい」

参照:「支援者連合崩壊、JDIに迫る正真正銘の崖っぷち」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56810

 私は、シャープのOBで株主でもある。そこでシャープの株主総会と経営説明会に出席し、JBpressで発信した提言の実現を、戴正呉会長兼社長に直接要請してみることにした。

経費削減が徹底された株主総会

 戴社長の「経費削減」は徹底している。

 株主総会は、昨年に引き続き、堺工場の一番奥にある建物1階の見学者ホールで行われた。

【写真1】株主総会が開かれたシャープ堺工場(筆者撮影)

 株主総会でも外部の会場を借りず、経費削減に努めているのだ。株主総会の会場設営も、低いひな壇と、折畳み式の椅子と机。垂れ幕も花もない非常に簡素なつくりだ。ここでも経費削減の意識が徹底されている。

【写真2】経費削減が徹底されたシャープ株主総会の会場 (筆者撮影)