(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年6月24日付)

賃金が上がらない、好調な米経済に置き去りの労働者

賃金が上がらない、好調な米経済に置き去りの労働者。写真は米ニューヨーク(New York)のタイムズスクエア(Times Square)で自由の女神像(Statue of Liberty)に仮装して観光客からの寄付を募る男性(2014年10月8日撮影、資料写真)。(c)AFP/Jewel Samad〔AFPBB News

 7月初め、米国の現在の景気拡大期は正式に、全米経済研究所(NBER)による景気サイクルの統計が始まった1854年以来最長となる。

 失業率は49年ぶりの低さだ。資産価格は記録的な高値に近い。そして米連邦準備理事会(FRB)は先週再び、景気見通しと低インフレの「不確実性」のために利下げに傾いているというシグナルを送った。

 現時点で地政学がいかに不安定か、また、この景気回復がいかに二分化し、主に大規模な多国籍企業と資産をたくさん持った個人を優遇してきたかを考えると、これは直感的に筋が通るように思える。

 だが、FRBが金融政策の引き締めから緩和の準備に転換したスピードはかなり衝撃的であり、いつ訪れるにせよ、次の景気後退を切り抜けようとする際にFRBが歴史的に低い金利水準からスタートすることは心配の種でもある。

 それ以上に不安にさせられるのは、この奇妙に長い景気サイクルが特に珍しくないことだ。

 ドイツ銀行の調査リポートは、過去165年間にあった34回の米景気拡大期を調べたところ、直近4回の景気サイクルが平均より長いことが分かった。

 実際、最も長い景気サイクル上位6位のうち4つが直近のサイクルだった。1982年以降、長めのサイクルがニュー・ノーマルになっているのだ。

 なぜか。