(英エコノミスト誌 2019年6月22日号)

ジョンソン氏、合意なき離脱は「最後の手段」 表現軟化

英ロンドンで与党・保守党党首選挙に向けた活動の開始集会で演説するボリス・ジョンソン英外相(2019年6月12日撮影)。(c)Tolga AKMEN / AFP〔AFPBB News

ボリス・ジョンソン氏が首相を目指すことへの批判は「国家」で完璧に展開されていた。

 1987年夏。ボリス・ジョンソン氏は浮かない顔で、オックスフォード大学ベリオール・カレッジのアンソニー・ケニー学長を訪ねた。

 ケニー氏といえば、傑出した哲学者・古典学者だ。

 大学生のジョンソン氏は、自分の成績が優等学位のファースト・クラスとセカンド・クラスのボーダーライン上にあり、「バイバ」と呼ばれる口頭試問を課されると聞いて、特別指導を希望したのだ。

 学長は1日かけて、問われそうな質問を一通り試してみた。

 しかし、専門家ならではの援助を得ても、ブリントン・クラブという社交クラブの仲間と酒を飲んで騒いだり、策を弄して弁論部「オックスフォード・ユニオン」の会長になったりすることにかなりの時間を費やしていたジョンソン氏の学力不足をカバーすることはできなかった。

 ファースト・クラスの学位を取り損なったことは、今もジョンソン氏をひどく悩ませ続け、ライバルの多くを喜ばせ続けている。

 しかし、実際のところ、そんなことは大した問題ではない。この世界にはファースト・クラスを取って失敗した人も、取り損ねたが成功した人もごまんといる。

 本当に興味深いのは、ジョンソン氏の成績から知性の面での大きな弱点が明らかになるか否かではない。ジョンソン氏が大学で学んだ学問は、同氏の首相としての資質について何を教えてくれるのか、だ。

 古典には、良き指導者の特質についての考察がたくさん詰まっている。そして、古典時代になされたこの考察において、プラトンの右に出る人はいない。

 ベリオール・カレッジ史上最も偉大な学長ベンジャミン・ジャウェットが古典のシラバスの中核に据えていたのも、やはりこの哲学者だった。