(写真:ロイター/アフロ)

「出資予定者から離脱する」

 6月17日、「日の丸液晶」のジャパンディスプレイ(JDI)は、台湾の宸鴻集団(TPK)から、その旨の通知を受けたと衝撃的な発表をした。

800億円は本当に調達できるのか

 2019年3月期決算で5期連続赤字という深刻な業績不振に陥っていたJDIは、「台中連合」から最大800億円の金融支援を受けることとなっていた。台中連合とは、台湾のタッチパネルメーカー「宸鴻集団」(TPK)、台湾の投資銀行「富邦集団」(CGLグループ)、中国最大の資産運用会社「嘉実基金管理」(ハーベスト・ファンド・マネジメント)の3グループからなる「Suwaコンソーシアム」と名付けられた企業連合だ。

 この台中連合の枠組みも、紆余曲折を経てまとまったものだっただけに、そこからの「TPK離脱」という事態は、JDIにとって絶体絶命の危機を意味する(図1)。

【図1】台中連合の再編で混迷するJDIを巡る組織間関係(筆者作成)
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 それでも「TPK離脱」の発表と同時に、JDIは土壇場で調整した代替案を発表した。TPKが抜けた穴を、新たに加わる香港のオアシス・マネジメントの出資や、中国ハーベスト・グループの追加出資でカバーする計画だという。