遠藤航。1993年2月9日生まれ、湘南ベルマーレ、浦和レッズで中心選手として活躍し、2018年よりシントトロイデンでプレー。日本代表としてもロシアW杯、先のアジアカップなどに選出。(写真:杉田裕一)

昨夏、ベルギーリーグへと移籍した遠藤航。主力として1シーズンを戦い、シントトロイデンの躍進を支えた。最終節のケガで5-6月の日本代表召集は見送られたが、アジアカップで見せた安定したプレーは、欧州に渡った大きな成果と言える。

「守備力」にストロングポイントを持つ遠藤は、海外で「守備」をどうアップデートさせていたったのか。「守備の原則」にはどんな差があるのか。岩政大樹の『PITCH LEVELラボ』で語り合った。その一部を編集して紹介する。

■つねに得点チャンスになりそうなシーンを作るベルギー

岩政:ベルギーに行って、遠藤選手の場合、全体を動かすとか周りに声をかける、意思統一をさせる・・・、そういうゲームマネジメントみたいなところでも感じるところがあったと思うんですけど、やっぱりより「行ったり来たり(※)」になります?
(※)攻守が目まぐるしく変わる展開

遠藤:なりますね。

岩政:そこはこれまで話してきたような(日本代表やJリーグでの細かいゲームマネジメント、その意図について意見を交わしていた)ゲームマネジメントみたいなものはあまり感じないですか。

遠藤:(日本のときのような)ブロックを引いて(※)、相手をあえて動かす、みたいな時間というのはほとんどないですね。前半からカウンターの打ち合いみたいなゲーム展開になることも多々あります。
(※)自陣に引いて守備を固める、あるいは立て直す戦術

「カウンターの打ち合いみたいなゲーム展開は多かった」(遠藤航)【写真:PITCH LEVELラボ「対談ラボ」動画より】

岩政:それって周りの受け止め方としてはどうなんですか。監督や選手たちもそういうものだと思ってる?

遠藤:そういうものだと思っていますね。サポーターもそれを楽しんでるところがあります。ポジティブに言うと、常に戦いがゴールに向かっていて、常に得点チャンスになりそうなシーンが現象として起こる。その部分で見ている側に面白さはあるんですけど、中盤でプレーしている立場としてはすごくきついです(笑)。

岩政:確かに(笑)。

遠藤:やっぱり(試合展開に応じて)一回、ブロックを引きたいと思っていても、ほかの中盤の選手が(前に)行くと、どうしてもそれについていかないといけないという判断に――どちらかといえばですけど、なってしまっていたので。

岩政:ああー、なるほど。遠藤選手自身はどうなんですか。所属していた湘南ベルマーレは、比較的、(ベルギーのように)前に前に行くじゃないですか。日本の中ではその傾向が強いクラブです。ベルギーはそれ以上?

遠藤:より(前への意識が強い)、ですね。かなり「高め高め」に「人に人に」いくという傾向がベルギーリーグはありました。