(英エコノミスト誌 2019年6月15日号)

中国、レアアースの対米輸出制限を示唆 貿易戦争に新たな一撃

中国・内モンゴル自治区包頭市郊外に立ち並ぶレアアースなどの加工工場(2011年4月21日撮影、資料写真)。(c)Frederic J. BROWN / AFP〔AFPBB News

中国が輸出を減らせば米国は困るが、中国経済の長期的な目標にも悪影響が及ぶ。

 最初に目の前に広がるのは、中国の古い絵画にあるような光景だ。緑に深く覆われた丘が続き、その麓には水田が広がっている。

 しかし、その奥に視線を移していくと、茶色の地肌が現れる。丘の頂には茶色の窪(くぼ)みができている。深いすり鉢のような形をしており、茶色の泥の流れも見える。

 つい数年前まで、江西省にあるここ贛州は、中国南部の代表的な鉱業地帯だった。

 経済成長の名の下にもたらされた自然へのダメージは、米国との貿易戦争で中国に優位性を与えている産業と関係している。

 丘から掘り出される岩には、飛行機からスマートフォンに至るまであらゆる製品に使われている、レアアース(希土類)と呼ばれる鉱物が豊富に含まれている。これは中国が牛耳る「汚いビジネス」なのだ。

 レアアースは周期表に載っている17の元素の総称で、実はありふれた物質だ。

 だが、世界全体の埋蔵量の4割が中国に集中している。鄧小平は1992年、「中東に石油あり、中国にレアアースあり」と言ってみせた。

 鉱石からレアアースを抽出するために使われた薬品は有毒廃水を生み出すが、中国はそのコストに耐える意思がほかの国々より強く、2000年代の初め頃には世界の生産をほとんど一手に引き受けるに至った。

「当時は法律もなかったし、みんなここで穴掘りに精を出していたよ」。地元の鉱山で18年間働いたシア・イージャンさんはこう語る。