(英エコノミスト誌 2019年6月8日号)

米からの関税発動迫るメキシコ、回避に奔走 移民流入阻止策講じる

メキシコ南部チアパス州の移民収容施設で、滞在許可証の発給を待つ少女(2019年6月6日撮影)。(c)PEDRO PARDO / AFP〔AFPBB News

このやり方は逆効果であるうえに危険だ。

 ドナルド・トランプ氏はホワイトハウスのオーバル・オフィス(大統領執務室)に入った時、米国の力を取り戻すと約束した。

 その方法が、経済的な手段の全面的な兵器化だったことが、ここにきて明らかになった。世界は今、ルールや同盟関係のくびきを逃れた時に超大国が投射できる威力を見て取れる。

 トランプ大統領は5月30日、移民問題をめぐる論争の後、ダメージの大きな関税をメキシコに課すと脅した。

 市場は動揺し、メキシコ政府は大急ぎで代表団をワシントンに派遣して平和的な対応を求めた。

 その翌日には、インドが米国の一般特恵関税制度(GSP)の対象から外された。普段はマッチョなインド政府も今回は応戦せず、「強い結びつき」を維持すると約束した。

 中国は間もなく、関税率を一段階引き上げられる。同国の大手ハイテクメーカー、華為技術(ファーウェイ)は、米国の部品納入業者との関係を断ち切られた。

 中国の専制的な指導部は立腹しているが、6月2日には「対話と協議」を引き続き求めると述べている。

 イランに対する禁輸措置は、欧州諸国の反対を押し切って強化され、イラン経済を疲弊させている。

 トランプ大統領はこうした状況を見て、にんまりしているに違いない。