(英エコノミスト誌 2019年5月18日号)

送油管などへの攻撃は「世界への石油供給が標的」、サウジ見解

破壊行為を受け損壊したサウジ船籍のタンカー(2019年5月13日撮影)。(c)KARIM SAHIB / AFP〔AFPBB News

エネルギー取引ほど、その動きが著しい分野はない。

 2月の初め、一隻の石油タンカーがペルシャ湾に入った。どうやらイラク沖のバスラ原油出荷ターミナルを目指しているようだった。

 ところがその後、トランスポンダ(無線の自動応答装置)のスイッチを切り、連絡を絶った。

 10日後に通信を再開して再び姿を現すと、今度はホルムズ海峡を通ってアラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラに寄り、積み荷を降ろした。

 そしてタンカーはまたバスラに向かい、再び通信機を切って連絡を絶ち、再度姿を現してフジャイラに原油を届けた――。

 このパターンで行動するタンカーの数は、過去8カ月間で延べ60隻を超えた。

 5月2日にイラン産原油を全面禁輸とした米国の政府関係者にとって、イランの近くで見られるこのような行動は関心事だ。

 しかし今回、情報を集めたのは諜報機関ではなく、ウィンドウォードという名前の民間企業だった。

 イスラエルに本社を構え、米中央情報局(CIA)の長官だったデビッド・ペトレイアス氏や英BPのトップをかつて務めたジョン・ブラウン氏といった投資家の後押しを受けながら、一般企業が制裁の迷路をくぐり抜ける手助けをしている企業である。